日本語教育の語彙13 コスとコエル
第11章、コスとコエル この2語をどう、使い分けるか。留学生が山の峠を通過するバスに乗って質問したという。バスは峠を越したんですか、峠を超えたのですか、と。お申し越し下さい、家にお越しください、乗り越し料金は、などなど、コスとか言えない用法がある。意味成分表を作ってその違いを求める。しかし、ここで、筆者は重大な解説をしている。意味成分の分析で説明するのに個人的見解があって、それを自分が60年使ってきて、さしさわりがなかった故をもって、語の意味における正しさを、同一社会集団の所属している成員間で互いに何とか理解できる範囲での理解ということになる、と意見を述べる。そこで日本語教育の当面の目標を置くことになって、最大公約数的な意味のサークルに外国人を誘導することであると論じている。さて、それでは、留学生の問いに答えは、どうなるか。
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/044.html
「越える・越す」?「超える・超す」?
≧
Q NHKスペシャル『世紀を越えて』をいつもみていますが、「こえる・こす」の表記について「越」か「超」か迷うことがよくあります。どのように使い分けているのでしょうか。
A 「越」は「場所・時間などを過ぎて向こうへ行く」、「超」は「ある一定の数量・限度などを上回る」意味を持つことばとして使い分けています。
「越」と「超」は、かなりの部分が意味の重なり合ったことばで、放送現場でも表記を迷うことが多いようです。
それぞれの意味と用例を示しますと・・・
「越える・越す」
(意味)
場所・時間・点などを過ぎて向こうへ行く。移る。
(用例)
国境を越える(越境) 頭上を越す 峠を越える(越す)
年を越す(越年) 冬を越す 権限を越える(越権)
飛び越す 乗り越える 引っ越す 見越す 持ち越す
ラインを越える ハードル(バー)を越える
60の坂を越える(越す)
「超える・超す」
(意味)
ある一定の数量・基準・限度などを上回る。超越する。
抜きんでる。
(用例)
11万円を超える額 基準を超える 子どもが親を超える
人口が100万を超える 気温が30度を超える 制限重量を超す
半数を超える 定員を超える 予想を超える
党派を超える(超党派) 人間の能力を超える(超能力)
(新用字用語辞典P163ほか参照)
(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)
大辞林 第三版の解説
こえる【越える・超える】
( 動ア下一 ) [文] ヤ下二 こ・ゆ
① 障害物や境界線の上を通り過ぎて、向こう側へ行く。越す。比喩的にも用いる。 《越》 「峠を-・えて町に出る」 「野を-・え、山を-・えて、列車は走る」 「遠く海を-・えた外国まで広まる」 「 - ・え難い壁」
② ある日時が過ぎる。 《越》 「 - ・えて一九九〇年の一月」 「年-・ゆるまで音もせず/竹取」
③ ある基準・数値を上まわる。越す。 《超》 「四万人を-・える大観衆」 「能力の限界を-・えている」
④ 自分の考え方や立場からさらに先へ進む。超越する。 《超》 「利害を-・えて業界につくす」 「怨讐を-・えて援助の手をさしのべる」
⑤ 他よりすぐれる。まさる。 《超》 「芸能人ニ-・エタリ/ヘボン」
⑥ 位が上になる。 「昨日今日の若人どもに多く-・えられて/落窪 4」 〔本来「越す」に対する自動詞〕
越す・超す(読み)こす
大辞林 第三版の解説
こす【越す・超す】
( 動サ五[四] )
① 山・川その他の障害物や境界線の上を通り過ぎてその向こう側へ行く。 《越》 「峠を-・す」 「箱根八里は馬でも-・すが-・すに-・されぬ大井川」 〔「越える」に比べて、ある一点を突破することに主眼がある〕
② ある基準・数値を上まわる。こえる。 「四万人を-・す大観衆」 「三時間を-・す大演説」 「五〇の坂を-・す」
③ ある区切り目となる時や困難な時期を過ぎる。 《越》 「この問題の解決は年を-・しそうだ」 「ツバメは南の暖かい国で冬を-・す」
④ 後ろから行って先を進んでいたものより前に出る。位などが上位になる。 《越》 「ライバル会社の先を-・して新型機種を発売する」 「大将を人より-・して大臣になして/宇津保 楼上・下」
⑤ (「…にこす」の形で)…よりも優れる。…よりもよい。 「給料は高いに-・したことはない」 「これに-・す幸いはございません」
⑥ 引っ越しする。ひっこす。 《越》 「隣に-・して来た人」 「転任で大阪へ-・すことになった」
⑦ (「おこしだ」「おこし下さる」などの形で)「行く」「来る」の尊敬表現。いらっしゃる。 《越》 「あら、どちらへお-・しですか」 「皆様どうぞおそろいでお-・し下さい」 〔本来「越ゆ」に対する他動詞であったが、神の力などによって自分自身を越えさせる意から転じて、ほぼ「越える」と同じような意味で用いられるようになった〕
[可能] こせる
[慣用] 先さきを- ・ 峠を- ・ 年を- ・ 一山-
デジタル大辞泉の解説
こ・える【越える/超える】
[動ア下一][文]こ・ゆ[ヤ下二]
1 (越える)物の上・間・境界などを通り過ぎて、向こうへ行く。「打球がフェンスを―・える」「山を―・え、また谷を―・える」「海を―・えてきた便り」「国境を―・える」
2 (越える)区切りとなるある日時が過ぎる。時を経過する。「―・えて翌年の春を迎える」「齢(よわい)八〇を―・える」
3 ある基準・数量を上回る。超過する。「四万人を―・える観衆」「危険水位を―・える」
4 地位・段階などで、順序をとばして先になる。飛びこす。「先輩を―・えて重役になる」
5 他のものよりすぐれる。ぬきんでる。「力量が衆を―・えている」
6 ある考えや主義にとらわれず先に進む。また、ある基準・範囲の外まで出る。超越する。「互いに立場を―・えて手を結ぶ」「想像を―・える」「常識を―・える」
7 規則やきまりに外れる。「矩(のり)を―・えず」
越す/超す(読み)コス
デジタル大辞泉の解説
こ・す【越す/超す】
[動サ五(四)]
1 (越す)ある物の上を通り過ぎて一方から他方へ行く。また、難所や障害となるものを通って、その先へ行く。「塀を―・す」「難関を―・す」「峠を―・す」
2 数量・程度がある基準以上になる。「一万人を―・す応募者」「気温が三〇度を―・す」
3 (越す)ある時期・期間を過ごす。「年を―・す」「還暦を―・す」
4 (越す)追い抜く。「先を―・される」
5 (「…にこしたことはない」のように打消しの表現を伴って)…するのがいちばんよい。「早いに―・したことはない」
6 (越す)
㋐別の所へ移って住む。引っ越す。「新居へ―・す」
㋑(「おこし」の形で)「行く」「来る」の意の尊敬語。「どちらへお―・しですか」「またお―・しください」
[可能]こせる
[下接句]先を越す・先(せん)を越す・峠を越す・年を越す・一山(ひとやま)越す
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。