頭脳は怜悧で、背中は暖かい

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佐藤一斎「言詩四録」を読む 平成5年2月 致知出版社
この書の著者は、神渡良平、著者プロフィールによると、作家である。脳梗塞で右半身不随になったが、リハビリで社会復帰なる。38歳に闘病生活を強いられた(102ページ)が、人生は一度しかないとさとったそうだ。その解説には、閑想客感は志の立たざるによる、言詩後録18条にある、ことを実感したと言う。

そのなかで、面背胸腹について、西郷隆盛の逸話に触れる。物に動じない姿を紹介する。そのエピソードには、荷車を引く車引きが難儀するのを見て西郷が、おいどんが押しもそ、と、車のあとから押し始めたものだから、下士官たちがあわてたとある。

天を相手にする了見を説いている。この条に合わせた神渡氏のエピソードを、その西郷の背中を思い合せて、車引きにあとから押す姿は、背が見えると、その背が暖かい、そう合点をした。