語彙論5

語彙は語の集まりである。彙字について、中国の古辞書、説文には、はりねずみが身を丸めている形、という説明がある。中国の許慎が9353字を540部に分類した、説文解字 せつもんかいじ がある。語彙という用語を、vocabularyの翻訳とする。それはまた、単語集、用語範囲の意である。語彙について国語学が語彙論ををすすめ、1950年代以降の研究がその用語の定義を明らかにし、多く、辞書義はそれに従う。すなわち語彙とは、デジタル大辞泉では、彙は集める意、ある言語、ある地域、分野、ある人、ある作品など、それぞれで使われる単語の総体、とする。
この単語の総体はまた、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説にあるように、ある一つの国語、方言あるいは作品などの単語の総体とする。それは、現代英語の語彙、東京方言の語彙、源氏物語の語彙、などのようにいうと、その捉え方を具体的にすることになる。大辞林 第三版の解説では、vocabulary、ある一つの言語体系で用いられる単語の総体、であり、言語体系をどのように限るかによって、内容が変わ、として、その説明を加える。すなわち、日本語という限り方をすれば日本語の単語全体を意味し、漁村農村あるいは特定の職業など、ある領域に限ればその領域内で使われる単語の全体を意味し、ある個人に限れば,その人の使う語の総量を表す、となる。
単語の総体につき、単語の総量とも説明されるのは、語彙論がまず計量言語によって、ひとつの語彙を単語なら単語としてその数によってあらわし、その量による語彙量を総体としたことによる。単語の全体、言語体系の単語の総体というのは、その集まりの体系をどう分析するかによる。語彙論は語の集まりであるが、また一方で、語彙を語のまとまりとして体系を見ようとすると、語彙の意味分類によるなど、さざまな分析ができる。したがって、語と語彙を見ようとすると、その違いについて考えておかなければならない。語の論、語彙論、語彙の論とそれぞれ立場ができることになるが、語彙論の説明によってとらえていくのがわかりよい。
語の論は文法の単位に語を規定してその語構成を議論してきたので、語構成論を進めてきて成果を上げている。語をひとつずつ、その語について、辞書の説明にあるように、語源、語誌、語の文法的性質による語性の説明、形態、意義、職能を見て意味内容を解説する。さらに語と意味の関係を見る、言語において一つ一つの語を見ることは、語の形式、意味との重要なかかわりをわたしたちの関心としてきたのである。

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