ロシアの内的ロジック

ymksk

ウクライナに2月24日侵攻から2か月になる。
ロシアの内的ロジックに視点を置くことの論評がある。
>これまでのことはともあれ、今拡大しているウクライナ戦争は、あまりに悲惨で危険である。「スラブ三兄弟」の「弟殺し」を続けているプーチンにも早期停戦のインセンティブは必ずあると筆者は思う。
ことの転換は共和国独立承認にあった。
>NATOの内規に基づく「民族紛争」がなくなれば、ウクライナのNATO加盟を妨さまたげる要因はなくなる。ウクライナ攻撃を命じたプーチンが「今しかなかった」と述べていたことが筆者にはとても印象的だった。しばらく分からなかったその意味が、今はなにがしか分かる気がするのである。



「今しかなかった」プーチンが2月24日にウクライナ侵攻へ踏み切った本当の理由
一刻も早くウクライナ全面戦争をやめさせるために必要な知恵
東郷 和彦
静岡県対外関係補佐官
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昨年の12月ごろからウクライナ周辺でロシア軍が大規模演習を始めたころから、ロシアの目的には、直近の目的と中長期的な目的があると分析された。直近の目的は、ドネツク・ルハンスク(略称ドンバス)の2つの州に住むロシア人の安全確保の問題だった。中長期的目的は、いわゆるNATOの東方拡大の問題、具体的には、ウクライナおよびジョージアをNATOには加盟させないという問題だった。

2014年2月のユーロ・マイダン(キエフにおける抗議運動)によって、ヤヌコーヴィチ大統領がキエフから放逐され、プーチンがこれをクリミア回復へのきっかけとした時点にさかのぼる。

しかし、キエフで暫定政権を担ったヤツェニュク首相は、東部においてウクライナ語の使用を進める政策を採用した。この政策は、ロシア語を公用語とするドンバス両州で猛烈な反発をひきおこし、ロシア軍のさらなる動員が伝えられた。新たに大統領に選出されたポロシェンコは、2015年2月に独仏の賛同をえて「ミンスク合意」を結び、ドンバス問題の解決を企図したが、事態の鎮静化にはいたらなかった。

2015年2月に確定したミンスク合意の署名者は、ロシア・ウクライナ・ドイツ・フランス・OSCE(欧州安全保障機構)の代表であり、問題となっているドネツクとルハンスクのロシア人居住区の代表も参加した。

しかし、ミンスク合意が無事に実現した場合、ウクライナは、自国の中に「ロシア人特別区」を持つことになる。ウクライナのNATO加盟問題が出たときに当然この特別区の人たちは反対することになる。しかるにNATOには内規があり、「民族紛争または領土紛争を有する国はこれをOSCEの原則に従って平和的に解決しなくてはならない。これらの紛争を平和的に解決しているかどうかが、加盟を許すか否かの判断要因になる」(「NATO拡大に関する研究=2008年11月5日改訂」)とされている。

この内規に照らせば、ウクライナとジョージアは、事実上NATO加盟が不可能になる。プーチンにとって「ミンスク合意」こそ、一石二鳥の大政策だったと言ってもよい。

その結果、2月21日プーチン大統領は、安全保障会議を開き、ドンバスの2つの「共和国」(「ドネツク人民共和国」「ルハンスク人民共和国」)の独立を承認。両共和国との間に「友好相互援助条約」を締結した。さて、このニュースを聞いた時に筆者は、おそらくかなりの人たちと一緒に「なるほど。これでドンバス問題はかたがついた。これからしばらくの間、NATOの東方拡大の問題について交渉が始まり、そこから何らかの合意が生まれることを期待しよう」と思ったのである。