日本語文章文法論 0904
現代日本語文法文章論 題材は、タイトルが、植物描きも描いたり2200種 とあり、副題に、兵庫県内対象に研究・収集50年 成果をまとめて本に とある。日本経済新聞の文化面、20140904付けである。執筆者は矢内正弘氏である。なお、有料会員サイトであり、著作の全文をこのように言語分析に資料としているので、そのことをお断りするとともに、ここにお礼を申したい。
冒頭の文は、次である。
>植物図を描くのはおもしろい。
末尾の文は、つぎである。
>研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
書き出しの文段は、次のようである。
>植物図を描くのはおもしろい。草木は一本一本で細かな違いがあり、自ら描くことで発見がある。植物の収集や研究をしてきて50年を超え、自分で集めた標本は10万点以上になった。私が住む兵庫県内で生えているとされる品種の8割以上、約2200種を描くことができた。手描きの植物図を見ると、カラー写真の図鑑とは異なった味わいがあると感じる。
末尾の文段は、次のようである。
>絶滅した品種も多く
繁殖した外来種などの「帰化植物」があり、県内には約2600種が生えているとされる。一方、開発やシカの害などで絶滅した品種も少なくない。私が描いたなかでも、おそらく200~300種はもう生えていないだろう。これまでの研究成果は「兵庫県産植物図譜」という上下巻の専門書にまとめた。研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
段落は見出しのもとに、次のようである。
>写真より細かく
植物をよく観察し、形や特徴をリアルに描いたものを「ボタニカルアート」という。古代から薬草を見分けるのに使われてきた。写真に比べると、注目したいところを細かく表現しやすい点が優れている。
集めてきた植物の品種を特定するのは意外に簡単ではない。たとえば茎にうぶ毛が生えている部分が、標本によって違うことがある。同じ品種なのか、別なのか。写真より植物図のほうが、こうした情報を盛り込みやすい。
>野山駆け探し求める
県内の植物をすべて描こうとすると、標本を集めるのが大変だ。たいてい友人たちと一緒に野山へ行って草木を探す。目当ての植物が運良く見つかっても、持ち帰ってそのままにしておくとカビが生える。水分をとるために新聞紙で丁寧に挟み、1週間ほどは毎日、新聞紙を取り換えなければならない。乾燥したら採取日、場所などを記入したラベルとともに、虫がつかないよう薬を入れて整理する。
>絶滅した品種も多く
繁殖した外来種などの「帰化植物」があり、県内には約2600種が生えているとされる。一方、開発やシカの害などで絶滅した品種も少なくない。私が描いたなかでも、おそらく200~300種はもう生えていないだろう。これまでの研究成果は「兵庫県産植物図譜」という上下巻の専門書にまとめた。研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
植物描きも描いたり2200種
兵庫県内対象に研究・収集50年 成果をまとめて本に 矢内正弘
2014/9/4付日本経済新聞
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植物図を描くのはおもしろい。草木は一本一本で細かな違いがあり、自ら描くことで発見がある。植物の収集や研究をしてきて50年を超え、自分で集めた標本は10万点以上になった。私が住む兵庫県内で生えているとされる品種の8割以上、約2200種を描くことができた。手描きの植物図を見ると、カラー写真の図鑑とは異なった味わいがあると感じる。
描いた植物図と筆者
描いた植物図と筆者
子供のころは昆虫や動物が好きだった。あるとき道ばたの雑草をふと持ち帰って図鑑を調べると、きちんとのっている。植物に興味をもち、大学ではコケを研究した。卒業後も教員として小学校や中学校で理科を教えながら植物を収集し続けた。15年前に退職して時間ができ、集めてきた標本などをもとに、本格的に植物図を描き始めた。
写真より細かく
植物をよく観察し、形や特徴をリアルに描いたものを「ボタニカルアート」という。古代から薬草を見分けるのに使われてきた。写真に比べると、注目したいところを細かく表現しやすい点が優れている。
集めてきた植物の品種を特定するのは意外に簡単ではない。たとえば茎にうぶ毛が生えている部分が、標本によって違うことがある。同じ品種なのか、別なのか。写真より植物図のほうが、こうした情報を盛り込みやすい。
葉や花、実、種子、茎などを一通り、顕微鏡をのぞきながら大判の紙に描いていく。茎や種子をカミソリで切って描く断面図なども入れやすいので研究に向いている。一方で正確な色彩を伝えるうえでは写真に劣るだろう。私は鉛筆とペンで、つまりモノクロで描いている。
1日4~5時間は机に向かっているが、ひとつの品種を描くのに少なくとも3~4日かかる。葉や茎などパーツを紙にどう配置すると美しいか。ついこだわってしまい、気に入らないと最初から描き直すこともある。すると品種によっては10日ほどかかってしまう。
野山駆け探し求める
県内の植物をすべて描こうとすると、標本を集めるのが大変だ。たいてい友人たちと一緒に野山へ行って草木を探す。目当ての植物が運良く見つかっても、持ち帰ってそのままにしておくとカビが生える。水分をとるために新聞紙で丁寧に挟み、1週間ほどは毎日、新聞紙を取り換えなければならない。乾燥したら採取日、場所などを記入したラベルとともに、虫がつかないよう薬を入れて整理する。
兵庫県という限られた地域でさえ、場所によって分布がいろいろだ。また花と実では季節が違うので、同じ場所を何度も訪れることになる。厳密に品種を特定するためには同じ個体、つまり1本の草や木からパーツを採取しないといけない。
なかでも苦労したのは、河川敷によく生えているヤナギの採集だ。例えば、花は3~4月、季節で異なる葉は6、8、10月と、計4回かかる品種もある。それを1本の木から取りたい。どの木か分かるように名札をかけておいたら、大雨で川が増水して流されてしまった。河川管理のために切られてわからなくなったこともある。ヤナギ科は県内に20種ほどあるが、私の住む姫路市を流れる市川だけでなく、加古川や武庫川などに何度も通った。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、希少な植物の群落に出会うこともあった。ただ離れ小島には不便さもある。暑い日に姫路市沖にある家島諸島のひとつを訪ねたときのこと。迎えの船を夕方に頼んだのに体力が続かず、待ちくたびれたということもあった。
どうしても見つからない標本は、神戸市の頌栄短期大学の標本庫や、県立「人と自然の博物館」を訪ねて借りた。頌栄短大には植物の勉強もかねて、この25年間で200回以上は通っただろう。
植物を集めていると、新種や、兵庫に生えていないとされていた品種を見つけたときが最もうれしい。そんな瞬間はめったにないが、ふだん街中を歩いていても、つい目を皿のようにして道ばたの植物を見てしまう。
絶滅した品種も多く
繁殖した外来種などの「帰化植物」があり、県内には約2600種が生えているとされる。一方、開発やシカの害などで絶滅した品種も少なくない。私が描いたなかでも、おそらく200~300種はもう生えていないだろう。これまでの研究成果は「兵庫県産植物図譜」という上下巻の専門書にまとめた。研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
(やない・まさひろ=兵庫植物同好会会長)
冒頭の文は、次である。
>植物図を描くのはおもしろい。
末尾の文は、つぎである。
>研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
書き出しの文段は、次のようである。
>植物図を描くのはおもしろい。草木は一本一本で細かな違いがあり、自ら描くことで発見がある。植物の収集や研究をしてきて50年を超え、自分で集めた標本は10万点以上になった。私が住む兵庫県内で生えているとされる品種の8割以上、約2200種を描くことができた。手描きの植物図を見ると、カラー写真の図鑑とは異なった味わいがあると感じる。
末尾の文段は、次のようである。
>絶滅した品種も多く
繁殖した外来種などの「帰化植物」があり、県内には約2600種が生えているとされる。一方、開発やシカの害などで絶滅した品種も少なくない。私が描いたなかでも、おそらく200~300種はもう生えていないだろう。これまでの研究成果は「兵庫県産植物図譜」という上下巻の専門書にまとめた。研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
段落は見出しのもとに、次のようである。
>写真より細かく
植物をよく観察し、形や特徴をリアルに描いたものを「ボタニカルアート」という。古代から薬草を見分けるのに使われてきた。写真に比べると、注目したいところを細かく表現しやすい点が優れている。
集めてきた植物の品種を特定するのは意外に簡単ではない。たとえば茎にうぶ毛が生えている部分が、標本によって違うことがある。同じ品種なのか、別なのか。写真より植物図のほうが、こうした情報を盛り込みやすい。
>野山駆け探し求める
県内の植物をすべて描こうとすると、標本を集めるのが大変だ。たいてい友人たちと一緒に野山へ行って草木を探す。目当ての植物が運良く見つかっても、持ち帰ってそのままにしておくとカビが生える。水分をとるために新聞紙で丁寧に挟み、1週間ほどは毎日、新聞紙を取り換えなければならない。乾燥したら採取日、場所などを記入したラベルとともに、虫がつかないよう薬を入れて整理する。
>絶滅した品種も多く
繁殖した外来種などの「帰化植物」があり、県内には約2600種が生えているとされる。一方、開発やシカの害などで絶滅した品種も少なくない。私が描いたなかでも、おそらく200~300種はもう生えていないだろう。これまでの研究成果は「兵庫県産植物図譜」という上下巻の専門書にまとめた。研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
植物描きも描いたり2200種
兵庫県内対象に研究・収集50年 成果をまとめて本に 矢内正弘
2014/9/4付日本経済新聞
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植物図を描くのはおもしろい。草木は一本一本で細かな違いがあり、自ら描くことで発見がある。植物の収集や研究をしてきて50年を超え、自分で集めた標本は10万点以上になった。私が住む兵庫県内で生えているとされる品種の8割以上、約2200種を描くことができた。手描きの植物図を見ると、カラー写真の図鑑とは異なった味わいがあると感じる。
描いた植物図と筆者
描いた植物図と筆者
子供のころは昆虫や動物が好きだった。あるとき道ばたの雑草をふと持ち帰って図鑑を調べると、きちんとのっている。植物に興味をもち、大学ではコケを研究した。卒業後も教員として小学校や中学校で理科を教えながら植物を収集し続けた。15年前に退職して時間ができ、集めてきた標本などをもとに、本格的に植物図を描き始めた。
写真より細かく
植物をよく観察し、形や特徴をリアルに描いたものを「ボタニカルアート」という。古代から薬草を見分けるのに使われてきた。写真に比べると、注目したいところを細かく表現しやすい点が優れている。
集めてきた植物の品種を特定するのは意外に簡単ではない。たとえば茎にうぶ毛が生えている部分が、標本によって違うことがある。同じ品種なのか、別なのか。写真より植物図のほうが、こうした情報を盛り込みやすい。
葉や花、実、種子、茎などを一通り、顕微鏡をのぞきながら大判の紙に描いていく。茎や種子をカミソリで切って描く断面図なども入れやすいので研究に向いている。一方で正確な色彩を伝えるうえでは写真に劣るだろう。私は鉛筆とペンで、つまりモノクロで描いている。
1日4~5時間は机に向かっているが、ひとつの品種を描くのに少なくとも3~4日かかる。葉や茎などパーツを紙にどう配置すると美しいか。ついこだわってしまい、気に入らないと最初から描き直すこともある。すると品種によっては10日ほどかかってしまう。
野山駆け探し求める
県内の植物をすべて描こうとすると、標本を集めるのが大変だ。たいてい友人たちと一緒に野山へ行って草木を探す。目当ての植物が運良く見つかっても、持ち帰ってそのままにしておくとカビが生える。水分をとるために新聞紙で丁寧に挟み、1週間ほどは毎日、新聞紙を取り換えなければならない。乾燥したら採取日、場所などを記入したラベルとともに、虫がつかないよう薬を入れて整理する。
兵庫県という限られた地域でさえ、場所によって分布がいろいろだ。また花と実では季節が違うので、同じ場所を何度も訪れることになる。厳密に品種を特定するためには同じ個体、つまり1本の草や木からパーツを採取しないといけない。
なかでも苦労したのは、河川敷によく生えているヤナギの採集だ。例えば、花は3~4月、季節で異なる葉は6、8、10月と、計4回かかる品種もある。それを1本の木から取りたい。どの木か分かるように名札をかけておいたら、大雨で川が増水して流されてしまった。河川管理のために切られてわからなくなったこともある。ヤナギ科は県内に20種ほどあるが、私の住む姫路市を流れる市川だけでなく、加古川や武庫川などに何度も通った。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、希少な植物の群落に出会うこともあった。ただ離れ小島には不便さもある。暑い日に姫路市沖にある家島諸島のひとつを訪ねたときのこと。迎えの船を夕方に頼んだのに体力が続かず、待ちくたびれたということもあった。
どうしても見つからない標本は、神戸市の頌栄短期大学の標本庫や、県立「人と自然の博物館」を訪ねて借りた。頌栄短大には植物の勉強もかねて、この25年間で200回以上は通っただろう。
植物を集めていると、新種や、兵庫に生えていないとされていた品種を見つけたときが最もうれしい。そんな瞬間はめったにないが、ふだん街中を歩いていても、つい目を皿のようにして道ばたの植物を見てしまう。
絶滅した品種も多く
繁殖した外来種などの「帰化植物」があり、県内には約2600種が生えているとされる。一方、開発やシカの害などで絶滅した品種も少なくない。私が描いたなかでも、おそらく200~300種はもう生えていないだろう。これまでの研究成果は「兵庫県産植物図譜」という上下巻の専門書にまとめた。研究には一つの区切りがついたが、これからも植物図を描いていきたい。
(やない・まさひろ=兵庫植物同好会会長)
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