万葉語り12

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万葉集が編集されたと見られるのは伝わる20巻の構成にある。

それを当初の成立に見出すのは部類と題詞にある。

巻九の雑歌、巻の冒頭歌に次のように見える。

  泊瀬の朝倉の宮に天下しらしめす大泊瀬稚武の天皇の御製歌一首

 ゆふされば をぐらのやまに ふすしかし こよひはなかず いねにけらしも

この歌、第1668番歌には左注が次のようにある。

  右は、或本には「岡本天皇の御製」といふ。正指を審らかにせず、よりて累ね載す。

岡本の天皇は34代、舒明天皇である。

その歌は巻八、第1515番歌で、次のようである。

 秋雑歌 岡本天皇の御製歌一首

  ゆふされば をぐらのやまに なくしかは こよひはなかず いねにけらしも

この歌を見て相違はあるものの、小異に内容は同じとみられる。

このような例を挙げれば、万葉集の全体には、現在成立している全20巻に及ぶこととなる。

同じ歌の場合は重出歌としての扱いがあるが、これは3句目に表現と語法に相違がある。

或本に示す歌は時代を下げる。

万葉集にある伝承の歌とされるのは、それは時代的に、雄略朝までさかのぼる形で載せる歌がある。

そしてこれはあきらかに同じ歌が小異を持ちながら編集を経て注記されていることが分かる。

題詞によって示されるのは、どこで、いつの時代に、誰がを記す作歌事情と見られる。

それはまた、左注によって必要なときには考証をほどこすことがわかる。