万葉語り24

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万葉集の成立には原本がある。

それには伝承されている逸話を記録する。

それが歌としての詞の宇宙であったのである。

うたは、芸術、技術、文芸といってもよいが、叫びでもあったろう。

題詞をつけた、一つのその小宇宙には物語があったろう。

をみのほきみ、伊勢の国のいらごのしまに流さゆる時に、人のかなしびて作る歌、第23番歌である。

 うちそを をみのおほきみ あまなれや いらごのしまの たまもかりなす 

そして第24番歌は、麻続王、これを聞きてかなしびて和ふるうた、とある。

 うつせみの いのちをおしみ なみにぬれ いらごのしまの たまもかりはむ

かなしびはは、哀傷、感傷の文字遣いに同じ訓をつけている。

のちの編者は左注に、右は日本紀をかんがふるに、として次のように言う。

麻続王に罪あり、因幡に流す、ひとりの子をば伊豆の島に流す、ひとりの子をば血鹿の島に流す、と。

これを引いているのは、伊良湖に流されたのではなく歌によって誤り記した、とも注釈する。


歌の引用は国歌大観番号、角川日本古典文庫を用いる。
    この書の注釈と解説による。

    伊藤博校注 万葉集 上下巻 角川書店