日本語語彙論 意味の記述9

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意味の記述は文を意味情報としてとらえ、その文で働く語の内容を他の語との関連で明らかにすることである。語が持つ指示意味、概念作用、そしてその語が使われる場面、文脈において、他の語との関係性をどう持つかによって文法的な意味を持ち、その語と語とが表わす意味を記述することになる。

そこには修辞で表される語の意味がその語の持つ情報内容を変えて新たな意味を表すこともある。比喩となったり、その文が象徴する意味内容である。そのように語を語との関係においてひとまとまりにする用法もあり、意味記述は語の意味として拡大したり転じたりすることがある。

言葉の使われ方は地域と民族によってその時間と空間とに制約され歴史と地理境界によって伝播することがあり、その都度、言葉の意味が確かめられようとしてきた。語を音の形式と見てそこに意味のあらわすところをとらえようとしてきたのである。ここに、もう一つの意味のとらえ方をその地理をへだて西洋と東洋とする漢字の言葉で見ることができる。

必ずしも語と意味の議論にはならないかもしれないが、訓詁の方法は語の関係性をちがったとらえ方で表そうとしてきたのである。



デジタル大辞泉の解説
くん‐こ 【訓×詁】
《「訓」は解釈、「詁」は古語の意》古い言葉の字句の意義を解釈すること。「―注釈」


大辞林 第三版の解説
くんこ【訓詁】
字句の解釈。文章全体の意義を考えるのでなく,部分的な文字や語句を説明すること。


デジタル大辞泉の解説
くんこ‐がく 【訓×詁学】
1 古典の字句の注釈や解釈を主とする学問。
2 中国の漢・唐代に、経(けい)書の字義を研究した学問。漢代に盛行し、唐代に大成された。


大辞林 第三版の解説
くんこがく【訓詁学】
①古典を解釈するために,主として文字の意味を研究する学問。
②中国,漢代に流行し,唐代に集成された,古典解釈のための学問。「爾雅(じが)」の研究を先駆とし,「説文(せつもん)解字」「五経正義」などの業績を生む。宋(そう)以後におこった,理義の究明を主とする思弁的な学問と区別される。
③文章全体の意義内容を考えず,部分的な字句の注釈にとらわれた学問。


世界大百科事典 第2版の解説
くんこがく【訓詁学 Xùn gǔ xué】
(1)文字どおりには,訓詁すなわち文字の意味を明らかにすることを目的とする中国の学問の一分科ということだが,後述するように特別のニュアンスをもっていわれることもある。文字の意味を明らかにするといっても,ある漢字の意味を,他の漢字に置き換えるという形で説明することが多く,日本でいう漢字の〈訓(くん)〉と根本は同じことである。しかし,内包,外延すべてまったく同じことばが,一言語の中に二つ以上存在するはずはないから,置き換え方式による意味の説明には当然有効性に限度があり,多くの場合それは,この文脈ではA字をB字に置き換えても,それを含む表現の全体が伝えようとするものに大差が出ないという程度のものであるにすぎない。


百科事典マイペディアの解説
訓詁学 【くんこがく】
中国で漢字の意味を研究する学問。《詩経》など多くの古典の漢字には通用以外の用い方や意味の付加があり,それを研究することによって,経典を正確に理解しようとする。秦漢のころに五経の文字を19種に分けた《爾雅》に始まり,後漢の許慎の《説文解字》,北魏の張揖(ちょうゆう)の《広雅》を経て,清朝のとき戴震,段玉裁,王念孫らによって盛んになった。