貴方、あなた

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46 「あなた」は丁寧語ですか

あなた、この語を人称とするなら、とくに丁寧語ではない。
2人称の代名詞として、わたしと彼と対応するものである。

あなた、に漢字を宛てて、貴女とした小説がいて、その表記をすれば、貴男ともなり、さらには貴方という文字遣いがあって、高貴の印象を与えるようなことになる。
私、貴方、彼、彼女、と書けば、2人称に当てはめる語を特別なもののように感じるかもしれない。

もとは、あなたの、あ、は、彼方とも書いて、これは遠くをさすように、それが目の前の相手に用いられるようになったのであるから、意味の変化にも相当することがらである。
ぼく、と、きみ、との関係に於いても、僕と書き、君と書けば、それぞれに表記に用いた漢字の意味内容がかかわるかのように思ってしまうかもしれない。

文法概念の影響と翻訳による言葉の選択が、わたしと、あなたと、それぞれを対等の関係として意味を持たせるようなことであるから、長幼の関係を重んずる日本語では、この2人称を目上に向かって使うことを避ける、使ってはならないとまで説明している。

日本会話書の最初に、日本語学習者が、あなた、を習得して、母語の影響のもと、あなた、あなた、と連発するのを避けた方がよいと、そう言う理由であるかどうかはわからないが、あなた、を目上の人に対しては使わないようにとある。

これは、東京方で、大人に向って、あなた、と使うことを快く思わないむきがあって、その意識からすれば、敬語にもならない言葉のようである。